The Nice / Five Bridges
中坊の頃はEL&Pのキースエマーソンが、私のヒーローだった。で、その流れで遡り、The Niceに行き着いたのだ。
EL&Pではキーボーディストでもシンセシストの色合いが濃かったエマーソンだが、The Niceでは、オルガニスト(ロックオルガニスト)全開で、少なからず興奮を覚えた。その前にハモンドオルガンの名手、ジミー・スミス体験があり、こちらはジャズで何本かコピーもした。(実は高校時代、ハモンドのモニター演奏を週一でやっていました。昭和56年のハモンドB-3000の発表会では、ミッキー吉野さんが来られ、握手したことを思い出しました)キースエマーソンのオルガンも真似てみたりしていましたが、クリッキーなサウンド(ドローバー設定)はなんとかなっても、類い稀なるグリスワークは、なかなかに難しい。そしてThe Niceの世界観もものすごく影響を受けました。荒っぽいけれど、とても詩的で、心に響く、ややサイケも含んだアルバム作りに感心。
ロココジャズ / オイゲン・キケロ
このレコードは、高校時代、アコベをやるバンド仲間の紹介で知りました。クラシックのジャズアレンジなんですが、アンドレプレヴィンや、ジョンルイス、グルダなどとは違った切り口で、非常に面白い。
キケロのアルバムは、ほとんど持っていますが、やはりこれが1番の出来。で、高校時代に、アルバムに収録されている「CPE.Bachのソルフェジオcーmoll」を完全コピーして、何度か演奏の機会もありました。この曲は、ピアノのテーマ部にドラムベースがTuttiでかぶさるので、バチバチのタイム感を要します。でもそれこそが醍醐味。今でもたまに聴き返しています。
バルトーク、piano works / ゾルタン・コーチシュ
ヒナステラの回に言いましたが、個人的な3大ピアノソナタは、プロコの7番、ヒナステラ、そしてこのバルトークで決まりです。最初にバルトークを弾くことになったのは、アレグロバルバロからですが、ソナタはとにかくムズイ!がしかし、ときめきも半端ない。で、コーチシュは、端整で明快な語り口。澱みのないポリーニも良いのですが、バルトークなら、この人かと。
キースジャレット / ケルンコンサート
キースジャレットのインプロヴィゼーションは、キラキラしていて、どこを切り取っても美しい。そして、とても情感豊かだ。
その演奏も時に体全体を使い、音と空間が、シンクロしていく。ああ、この人はどこまでも自由(普遍的な意味で)で、伸びやかなのだなぁ、と感心してしまう。演奏スタイルを真似たいとは思わないが、興がのってくると、立ち弾きをするところは、私も「同じ」なのだ^^ だから親近感はある。けれど、「神がかり」のその演奏は、何かのイリュージョンを見ているようで、憧憬よりも愉悦の時間を齎してくれる。
シェーンベルク / 月に憑かれたピエロ
シェーンベルクが12音技法など、無調に至る前の、この作品は、シュプレヒシュテンメ(語るように歌う)という独特の歌唱法で、ぐいぐいと(優しく)惹きこまれてゆく。こんな表現法があるのかと何度も聴き返し、レコードの溝は相当に磨り減ってしまい買い直したものです。
シェーンベルクの無調の作品も良いのだが、無調に絞ると、どちらかと言えばウェーベルンやベルクの方に傾倒していました。
マイルス・デイヴィス / TUTU
マイルスは時代毎に名盤と言える傑作を輩出しているのだが、影響を受けたのは、このアルバムです。
と言うか、これは、はっきり言ってマーカスミラーのアルバムに、マイルスが乗っかっている感じ。
そのマーカスは、シェリルリンの曲で、カッコいいベースを披露し、デイヴ・グルーシンのアルバムでも存在感抜群で、あれよあれよと言う間にトップベーシストとなっていく訳だが、この頃(86年)には、プロデューサーとして、コンポーザーとして一級品だと言うことを知らしめることに。そんな憧れも含めて、私の中では深く浸透しています。
ビルエヴァンス / ポートレートインジャズ
ビルエヴァンスの傑作は、モントルーⅡだとは思うのだが、影響を受けたのはこちら。
端正な音作りと美的即興に酔いしれる。自分では、到底至ることのない美学がそこにあるのだ。
でも、このアルバムで一番感心したのは、ベースのスコットラファロ。ボトムを支えながらも、対位法のようなフレージングに驚かされる。若き天才は、25歳という若さで死没するのだが、おそらく、その演奏は、永遠に語り継がれることだろう。
Weather Report / Heavy Weather
影響を受けた作品のうち、7割はコピーをしているのだが、これも、高校時代にbirdlandなど、コピーしました。
でも、感動したのは、Teen Town や A remark you made.
ジョーザヴィヌルは、面白いと思ったし、バンドとして真似したい部分もたくさんあった。が、ジャコパスには、心奪われてしまい、短い生涯のほとんどの作品や、出演動画や参加作品など収集。以後、一つの指標として存在し続けています。
レコジャケ - 影響を受けた作品#8
ヒナステラ、ピアノ曲集 / バーバラニスマン(A.Ginastera Piano Works)
ヒナステラといえば「ハープ協奏曲」「ピアノコンチェルト」などで知られていますが、何と言ってもピアノ曲が、猛烈に素晴らしい。個人的な3大ピアノソナタは、プロコフィエフの7番、バルトーク、そしてこのヒナステラのソナタなんです。その他のピアノ曲も、五感が震えるような興奮状態に。よほど波長が合うのでしょうね。因みに、ピアノコンチェルトの4th movementは、後年、Emerson,Lake&palmer(主にキースエマーソンが)の手によりToccataとして、アナログシンセ、バリバリの曲に生まれ変わりました。(エマーソンが、ヒナステラに出来上がった曲を聴かせたところ、大いに喜んでくれたそうです)
そして、このCDは現在、日本では入手困難だそうです。
Greg Mathieson Project / ベイクドポテトスーパーライブ
ルカサーやポーカロが参加しているだけで、ワクワクのユニットなのだが、このアルバムで、たくさんのことを学びました。
大学時代に数曲、コピーもしたし、やはりちょっと真似てもみた。楽曲そのものは、作り込んでいるわけではないが、原初の喜びに満ち溢れている(fun to playの)のだ。
肩肘張らない、心地よさ。自分に足りないものだなと省みる。